青のCD

夜中の丁度2時頃。俺は自分の部屋で曲を聴きながら本を読んでいた。丁度今聴いているCDの14曲目ぐらいで次のCDに変えようと思い、他のCDを選んでいた。

『どれも何回も聴いたことのあるやつばっかだなぁ〜』

とか思いながらCDを選んでいると、何だか見慣れないCDケースを見つけた。ジャケットは真っ青。少し紫色っぽくも見えた。それにはアーティスト名も、曲名も、何も書いていなかった。

『こんなCD、買った覚えもないしなぁ…。まぁ1度聴いてみるか』

そう思ってケースを開けてみると、これまた真っ青なCDが入っていた。もちろんアーティストなどは書かれていなかった。代わりに白色でこう書かれていた。

「青の 電話」

と。白色ではっきり書かれていたので

『曲名か?』

と思い、早速プレーヤーにかけてみた。

ところがこのCD、トラック数は1つしか無く、時間も15分程度だった。ますます中身が気になり「再生」ボタンを押した。

「…………」

何も聞こえない。だが2分ぐらい経った頃だろうか。突然

「ジリリリリリ、ジリリリリリリリ」

と電話の音がした。

家の電話ではない。CDの音だった。何だか古い電話のような音だった。これもまた2分ぐらいだっただろうか。突然電話が切れて再び何も聞こえなくなった。ところがまた2分ほどすると

「ジリリリリリ、ジリリリリリ」

と電話の音がする。これの繰り返しである。

『なんだよこのCD、これだけか?』

そう思った時、

「ガチャ、…………」

確かに電話をとった音が聞こえた。電話をとった音は聞こえたが、その後は何も聞こえない。

「……………」

CDはこれで終わりだった。

『時間の無駄だったな。』

とCDを取り出した矢先、

「ジリリリリリ、ジリリリリリ」

…家の電話だった。

『え?今夜中の2時だろ?誰だよこんな時間に…』

その時ふと思ったことがあった。

『俺ん家の電話の音、こんなだっけ?』

その音は、何だか古い電話のような…。そう、さっきのCDのような音だった。だが、確かにCDは取り出した。それにこの音は明らかに俺の家の電話からだった。

急に俺は恐怖感を覚え、電話に出ることができなかった。そして2分ほどすると電話は切れた。少し安心したが、それと同時にこの後の予想はついた。

『また2分後に電話が来るんじゃないか?』

と。案の定2分後には再び電話は掛かってきた。だが俺はその度にその音を無視し続けた。無視し続けていたが俺は「電話の相手」が段々気になってきた。

『次に電話が掛かってきたら出てやろう』

そう思ってしまった。…そして

「ジリリリリリ、ジリリリリリ」

電話が掛かってきた。

『…よし。出てやる』
「ジリリ…ガチャ」
『……もしもし?』
「青の 電話 聴きましたね? 聴きましたね? 聴きましたね?」

相手の声は女の声で、なんとも気味の悪い声だった。そして

「聴きましたね?」

と何度も言ってくるのである。俺は金縛りにかかったように動くことが出来なくなった。

「聴きましたね? 聴きましたね? 聴きましたね?」

気のせいか声が大きくなってきている。階段を上がる音が電話の向こうから聞こえた。そして実際にも俺の家の階段を誰かが上ってきていた。

『まずい…。このままでは…。』

気付いたときには遅かった。俺の後ろには見たことのないような恐ろしい顔の女が立っていた。そして、

「青の 電話 聴きましたね?」

と言った。その顔を見た俺は気が遠くなっていった…。

気付いたときに俺は部屋のベッドに倒れていた。

『夢だったのか…』

そう思った。いや、そう思いたかった。念のために例のCDを探してみた。

『…どこにもないな』

俺は安心して再びベッドに倒れ込んだ。

…数日後。学校の友達が何やら友達と話をしていた。

「俺さぁ、この前中古店で変なCD見つけたんだ。ジャケットが真っ青の…。俺まだ聴いてないんだけどさぁ、今日みんなで聴いてみない?」

貴方の身近に青のCDはありませんか?



以上です。長編で申し訳ございません。念のためフィクションです。
⇔戻る