時が止まる場所
〜後編〜

おれが気になっていたのはさっきの事。あの頃のAと一緒の状態だったのか。

今まで体験した事の無い現象に、なんだか奇妙な感覚に陥っていた。そしてAが落ち着いてきた頃、今日は家に帰って休むかという話になり、わけも分からないまま帰宅する事になった。

次の日の事だ。やはり俺は前日の事が気になっていて、Aに電話してみた。何回も電話したが、Aは出なかった。いつもはすぐ返信のくるはずのメールも、その日ばかりは返ってこない。

次の日も俺はAに電話してみたのだが、Aからは全く音沙汰ナシ。俺はやはりあの日の出来事とAの様子が気になって、バイト帰りにAの家に寄ってみた。家のチャイムを鳴らすとAの妹が出てきた。そして話を聞いたのだが、やはりAの様子がおかしいらしい。

Aはぼーっとしたまま虚ろで、ほとんど何も言わず食事もあまり取ってないらしい。俺は

「やはり、あの日何かあったのか」

と思い、Aの家に上がらせてもらいAと話してみようとした。Aの様子が気がかりだったが、Aを驚かせて元気付けようと 尻を半分以上出して勢いよく戸を開け部屋に飛び込んだ。

Aの部屋の戸を開けると、部屋はオーディオ(ラジオ)だけがついていて、明らかに精気が抜け落ちたようなAが座っていた。Aは少し反応してたが、明らかにいつものノリではない。おれは心配になり、メールの事や体調の事を心配しつつ、やはり遠まわしにあの話を聞こうと思った。

Aは、少し体調は悪いのだが大した事は無い。メールは後で返すつもりで、人と喋る気にはならなかったらしい。

そして本題のあの話。とりあえず、どう話していいのか分からなかった俺は、真正面から

「あの時何があったのか?」

と聞いた。しかしAは

「何も無かった」

としか話さない。少しまずいかなと思ったが、俺も混乱と興味?本位で何度も聞いてしまった。するとAは

「これ以上きかないでくれ」

とため息のように言い、それ以上は聞くに聞けなくなってしまった。

俺はそれまで「奇妙な体験をしたな」という事の興味本位だけで考えていたのだが、Aのここまで変わってしまった姿を見て、ただただ恐怖感に駆られた。

それからAの事を心配しつつも本当に怖くて、けどやはり興味がある日が続いていた。最近の事もまとめたいが、最近の方はそこまでオチは無い。てか夜中にこのこと思い出すと今でもちょっと怖いんだよ。

Aのことは気になっていたのだが、やはり何も聞けない日が続く。気付いたらAとは連絡が取れなくなっていた。

そして2週間ぐらいして少し忘れていた頃。俺は友達と遊んでいたのだが、偶然にもAのバンドメンバーと街で会った。ライブで何度か話したり打ち上げで飲んだだけの関係の奴だ。とりあえず俺も買い物に疲れていたので、ソイツの連れとの3人駅前のでマックに入った。

そいつと少したわいの無い話をしてたのだが、バンドの話になった。すると、Aは少し前からなぜか連絡がつかないらしい。そいつは俺がその事を知ってると思い、もともとAと仲のいい俺を気遣ってあえて口を濁していたみたいだが、俺はそのとき初めて知った。最後に俺が会ってから確か4日後くらいにAは行方不明になっていた。

おれは突然怖くなった。少しからだが震えていたし変なギトギトした汗が出る感じがした。

結局バンドメンバーにあの話しはできずに、連絡先だけ交換してその日は解散した。なんか言い知れぬ恐怖感と、現状を自分で確認したくて、いてもたってもいられなくなった俺は、その日の帰りにAのマンションの前まで行った。

俺はAの家の前を通ったが、家の明かりはついていた。しかしAの部屋の明かりだけは消えていた。さすがにここまで来ると、俺は怖いってよりヤバいと思い、本当に切り詰められたような状態だったのを覚えてる。

Aの家族にも言わないといけないが、なんて言ったらいいか分からない。母親は五年前に亡くなっており、弟はいくら問いただしてもその頃の記憶が無いという。Aの母親にはなそうとも、直接「止まってた」現場にはいなかったし、Aは「止まってた」話をしてなかったように思える・・・。そして行方不明の今、その事は言いづらかった。

なんども自分でも検証したいとは思ったが、Aは二度目でおかしく?なってしまった。そしておれはそこに行く勇気がなかった。友達に話そうとも思ったが、追い詰められた俺は結局誰にも話せなかった。

結局手段を思いつかなかった俺は、毎日Aに電話かけたりメールを送った。返信は無いが、メールは送れた。とりあえず1ヶ月以上、電話は時間帯を変えたりして毎日かけていた。けど、Aからはずっと返信も着信も来なかった。だんだん無駄なのかもしれないと思っていたが、責任を感じてた俺はたまにメールをしたりしていた。

それから半年、Aの母親や妹と話す事もあったが、やはりあの話はできなかった。そしてAの家族も、俺に関係ある事だと思っていなかったらしい。

俺は責任から、携帯のアドレスをずっと変えずにいた。するとAがいなくなってから半年たった頃、突然Aから着信があった。

気付くのが遅かった、着信があったのは二時間くらい前。古い携帯で単純なアドレスだったので、出会い系メールやワンギリもあって基本的に着信は無視していた。

Aに電話をかけると、Aはでなかった。それから二日間、一日に何度も電話をし続けた。すると、二日目に遂にAが出た。

Aはまず

「今まで出れなくてスマン、いま遠くの親戚の家で暮らしている」

と言った。そして、Aは

「あの時はスマン、本当に恐ろしい事があった」

と話し出した。

Aの話をまとめると、まず幼い頃の話からしなくてはならないのだが・・・Aは弟を振り切って物陰に隠れようとしていた。そして気付いたら夜だった、母に手を引っ張られていた。そのときは本当に記憶がなかったらしい。それで家に帰ったのだが、その頃から変な夢を見るようになったらしい。

まず、自分は洞窟に入っていく。最初は周りが見えるのだが、奥に進むと真っ暗闇になってるらしい。そして、気付いたら目の前に壁がある。どうやら洞窟はそこで行き止まりらしい。

すると足元から風が吹いている。よく見ると、足元に穴があり、奥の方に不思議に光るキノコがあるらしい。そして、そのキノコを覗き込むと洞窟は消え、自分の周りをキラキラとラメの様に光る黒い影がバレリーナのように躍る。

そしてその半年前の方の話になる。

Aはライブの帰り道、俺と一緒にあの場所に行く。場所はなんとなくしか覚えていなかったらしいが、その場所に行った瞬間、前回と同じ感じに時間が止まっていた。

しかし、今回は何か違ったらしい。なんと、自分の周りを、夢で見たのと同じように黒い影がくるくるラメのようなものを撒き散らしながら回転していた。 あ、前回は止まった事すら気付いてなくて今回は止まった事には気付いてたらしい。

それでAは怖くなり、最初は動けなかったんだがだんだんわけが分からなくなってしまっていたらしい。とりあえずがむしゃらに動こうとしても、体が全く動かない。この辺の描写はあまり覚えてないが、とりあえずヤバイと思って必死だったらしい。それで、気付くと回りが明るくなっていた。

ついに体が動いた。気が狂いそうになりながらも、Aは俺の手をとって必死に逃げた。そして墓で迷い、疲れきったAは嘔吐した。

それからは前に書いたとおり。一週間は恐怖で食事ものどを通らず、何もできなかったらしい。そして、この地を離れなくてはいけないと思ったAは、とりあえず親戚の家に行くことにしたらしい。そこは行動力があるAらしいと思った。

何日か親には言ってなかったが、親戚が連絡を入れたみたいだ。そして、親戚から家族に連絡が行ったのを知って、家族に

「恋愛でいざこざがあった、この事は他人に話さないで欲しい」

と伝えたみたいだ。

Aはたまに夢でみるキラキラの影と、昔あった「時が止まった」の話は全く関係ないものと思っていたらしい。 接点すら考えなかったみたいだ。そして俺から連絡が来てもただ怖かったのだが、落ち着いてみると俺の事も心配になった。しかも最近俺からあまり連絡が来なくなり電話したらしい。

それで、昨日あったスレに書いた理由。そのスレは「不可解な事教えてくれ」 件をみたいなスレタイだったんだが・・・

この間、俺はその夢を見てしまった。だから夢の詳細は結構細かく書けた。覚えてる、というか、俺が見たものと一緒だったのかもい知れない。

すまん、続きは無いというより進行形なのかもしれない。とりあえずコレで終わりだ。

俺はもう一度検証してみたい・・・。けどAの事もある。行くべきか。とりあえず、Aと連絡を取ったのはこの後一度だけ。

あと時間が説明しにくいのだが、一応言っておくとAと電話したのは一年半前、俺が始めて「止まった」のは2年前だ。半年ってかいたのは2年前から半年って意味なw
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