不可解な記憶
一昨日まで自分でも忘れてた話。
十年以上前に親父が死んで以来母親と二人暮らしなんだが、母親が父方の祖母と妙に仲が良くて事有るごとに家に行く。
で、年末もそんな感じで二人してそっちの家に行ってて、夜の9時とかにはばあちゃん自分の部屋戻ってって、他の親戚は年明けてから来るとかで一人で暇だし、初詣の運転手に朝早く起こされる予定だったから俺も早々に寝ようと思って風呂入った。別に風呂で変な事とかは起こらなかった。
だけど、風呂出て服着てたら、廊下をうろうろしてる影がすりガラスの向こうに見えて、雰囲気がばあちゃんっぽかったから風呂入るんかと思って
「ばあちゃん?風呂入るの?」
とか戸あけた。そしたらやっぱりばあちゃんが居たんだけどきっとこっち睨んできて、突然腕引っ張ってきて
「こい!」
とか言いながら外に連れてかれた。本当に突然の事でぽかーんとしてて引っ張られていったら、そのまま庭にある蔵っていうか、古い物置までひっぱってかれて、
「此処に入っとれ!」
とか言われた。全く意味不明だったから
「何で?どうしたん?」
とか聞いても何も教えてくれなくて、とりあえず入れみたいな感じで押してくるから、腕を掴んで押さえて、
「理由教えてくれな何もわからん」
みたいに言ったら、
「お前は見たから入っとらないかん!」
て言われた。聞いても意味不明だったから
「何を?」
って聞いた。そしたら更に険しい顔して
「わからんのか!」
って叫んで、
「お前は見られたらいかんから入っとれ!」
って。
会話が成り立たないからボケちゃったのかとか思ったら、玄関の方から母親が普段の調子で歩いてきて、ばあちゃんを止めてくれるんかと思ったら
「入りなさい」
って。
「母さんまで…何で?」
って驚いてたら、ばあちゃんから不意打ち食らって力いっぱい押されて蔵の中にしりもち。で、湯冷めもあって蔵ん中がすごい寒くて、中に灯りないから真っ暗だし、慌てて出ようと起き上がったら、立ち塞がるように母親が前に出てきて、
「これ持ってれば大丈夫やから」
って何かを渡してきて、受け取ったら、それは風呂の時外したシルバーのブレスレットだったけど、何故かものすごく安堵して、力が抜けて、扉を閉められた。
はっとして開けようとしたけど、鍵かけられて開かなくて、何が何だかわからなくてただ呆然とその場に座り込んで中を見回した。
窓が一個あったから若干の薄明かりはさしてたけどほぼ真っ暗。ていうか寒い、と思いながらばあちゃんの言った事を考えた。
何か見た?見られたらいけない?
全然心当たりはないしやっぱ意味がわからんと思いながら、ブレスだけとりあえずつけて、ぼーっとしてたらいつのまにか寝てた。
起きたのは8時くらい、ていうか起こされた、蔵の中でだけど。気がついたら母親が俺の肩を揺すってて、
「初詣行くよ」
って普通に。だから普通に飯食って初詣行って何も起こらずに三日滞在して帰った。
何が怖いってその日の朝、前日の夜の事を何も考えなかった事が一番。覚えてなかったわけはないと思うんだけど、ばあちゃんも母さんも普通で、酷い年越しだったけど一夜蔵の中で薄着で居て風邪も引かなかったし、そのまま一昨日まで忘れてた。
思い出したのは、母方の伯父さんから俺に小包が届いたから。中身はシルバーのブレスだった。元々持ってたのも伯父さんからもらったやつだったんだけど、そういえば蔵の中で起きたら鎖が切れて、飾りが割れてたんだよね。だから新しいの送ってくれたんか、と思って、そこから芋蔓式に記憶が。
俺何を見て、何に見られそうだったんだろ。
全体的に意味のわからん話でスマソ、しかも長文やし…。でも俺自身意味がわからなくて思い出してすごい怖くなった話。
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