急カーブ
遅まきながらこのスレの存在を知ったので、3年前の夏に起こった出来事をまとめてみました。本当に会った事を順序立てて書くので、ドラマチックではないかもしれないけど、とても不思議な体験でした。ちなみに、僕はオカルト好きですが霊感はないと思います。それでもあんな声を聞いたのですから、あの場はかなり特別なものだったんだと、今でも時々思い出します。まとまらず長文になってしまいました。ごめんなさい。
3年前の夏。2ちゃんのオフ板で馴れ合った仲間で、軽井沢の別荘に泊まりに行こうという話しになりました。別荘は軽井沢と言っても北軽井沢で、長野県ではなく群馬県にあります。
東京を出て、途中遊びながら別荘に着いたのは夕方。別荘の狭い風呂に入るより、温泉に行こうとういう事になり、2台の車に3人ずつ乗って、長野側とは逆に群馬側の温泉場へ30分ほど車で移動しました。温泉に浸かり、別荘までの帰り道に事件がありました。
先頭の車は僕の運転で別荘までは信号を右に曲がるだけでほぼ一本の山道。ちょっと腕に覚えのある僕は調子に乗ってかなりのハイペースで飛ばしてしまいました。途中、女の子4人乗りの車がノロノロと走っていて、強引に追い抜きました。その後、かなりきつい左カーブがあり、きれいにコーナリングできず車がぎくしゃくとしました。最初からそのくらいきついカーブだとわかっていれば減速も追いついたのでしょうが、コーナー侵入の雰囲気より、奥がかなり急なカーブになっていて、予測が出来ませんでした。その後もハイペースで信号まで飛ばし、角のコンビニの駐車場へ入って後続の車を待ちました。
コンビニはもうとっくに閉店していて真っ暗。1分、2分。。時間ばかりが過ぎ、仲間の車は一向に来ません。
「事故ってないよなぁ?」
なんて冗談を言っていたら、途中追い越した4人組の小型車がノロノロと。。その時内心(やばいかな。。)と思いましたが、次の瞬間、確信しました。
その小型車の4人が、みんなこちらをジッと凝視して目で追っていたのです。山あいで圏外な携帯電話を、だましだまし何度も掛けなおしながら、大急ぎで来た道を戻りました。途中やっと電話がつながり、
「どうした!?」
と問いかけると不明瞭ながら
「やっちゃった。でもなんとか大丈夫」
と聞こえて電話が切れてしまいました。やはりあの急カーブでした。曲がりきれなかった車は反対車線に飛び出し、ガードレールにぶつかってまた自分の車線まで飛んで斜めに止まっていました。幸いにも乗っていた3人は運転手も含めて傷はなく、助手席の子が足を軽くうったぐらいで済みましたが、車は大破。自走できませんでした。
女の子達を僕の車にのせ、男4人が外で対応に追われました。出来るだけ近い自動車整備工場に連絡をつけ、レッカーしてもらう約束をとりつけました。そこで気が少しゆるむと、その場所、事故を起こした場所がとても薄気味悪い場所だという事にやっと気が付きました。
その場にいた4人を僕、事故った車の持ち主A、かなり霊感が強いらしく、神経質な面もあるB、分析するほどの知識はないが霊的感度がいいらしいCと名付けます。
やっとレッカーの話しがまとまったころ、Bがかなり怯えているのに気づきました。
「はやくここから離れた方がいいよ。。」
たしかに薄気味悪い場所でした。基本的に車道に街灯はなく、真っ暗な舗装された山道で、急カーブの頂点に我々はいました。車3台分くらいの内側のスペースに、壊れた車、僕の車、我々が立っていました。そのコーナー内側は山に繋がっていて、上には金網で覆われた無人っぽい変電施設のようなものがあり、緑色の街灯でぼやっと無機質な金属の大きな箱が浮かび上がっていました。かなり大きなその施設の他は木々が生い茂り見通しは利きません。コーナーアウト側にはガードレールがあり、車がぶつかった後が生々しく残っていて、ガードレールの向こうは真っ暗でまさに吸い込まれるような闇でした。行き交う車も少なく、とにかくレッカー車が早く来て欲しいと願うばかりでした。
その場にいた我々を恐怖させたのはそのシチュエーションもそうなのですが、圧倒的に音の要素が多かったと思います。まず山の中腹の施設からは絶えず
「じーーー」
っという音がすごい音量で放たれていて、少し離れた人の声が聞こえないほどでした。そして反対側の闇からは川の流れる音がこれもかなり大きく聞こえてきました。
B「気分が悪い。川が怖い。。ここやばいよ」
僕「川の音、でかすぎないか?見える?」
C「見えない。。本当に向こう川あるのかな。。」
A「寒くなってきたね」
川を見たくなったので車から懐中電灯を取り出し、一番霊感が強いBに行っても危険はなさそうか?と聞きました。
「うん。。平気かなぁ。。気を付けてね」
そういわれて僕は道路を渡たりました。
ガードレールの向こうを懐中電灯で照らすと2〜3m下に草むらが広がっていて、10mくらい向こうにかすかに川が見えました。ぞっとしました。あんな遠くの川の音がこんなに響いてくるものなのか?明らかにこれまでの常識を覆す音量です。そんな事をその場でみんなに伝えると、Bがジッと違う場所を見ているのです。
僕「あっちに何かあるの?」
B「。。うん。。いる。。見えないけど。。なにかいるように感じる」
それはカーブが始まる場所にあるカーブミラーでした。
僕「いってみてもいい?はっきり見えたら教えて」
B「。。」
川を覗き込んでいた場所から10mほど事故現場から離れていくと、カーブミラーのところまできました。山の中腹にある施設を照らす緑色の光はもう消えかけ、ガードレールの向こうの闇と同化しそうなどほ暗いです。そこからみんなの方向を見たり、カーブミラーを懐中電灯で照らしたり、見渡したりしました。ガードレールの向こうからはやはり川の音が迫るように聞こえていました。その闇、まったく何も見えない所を見続けていると、闇の中にも濃淡ができて、それがうごめいているように見えてきます。急に怖くなって元いた場所に戻ると、Bの顔はもう真っ青になっていました。
みんな「おいB!顔真っ青だぞ!」
B「。。」
みんなの勧めでBも車で待機させました。Bが座席に座ってドアを閉めると、ウィンドーを下げて僕を呼びました。
B「あぶないよ。。川から上がってきてる。。あとね。。山の草むらからもジッと見てるやつがいる」
ぞっとしながらも草むらを見渡してみました。
僕「。。見えないな。。確かに胸騒ぎのする。。落ち着かない場所だけど」
B「黒いやつらだよ。。陰だけみたいな。。」
僕「もうちょっと待ってレッカーが来ないなら一度別荘まで往復しよう。」
車から離れると残りの2人の顔も血の気が引いてます。
C「もうなんかヤバイよ。。ここにいちゃ行けない気がする。。」
僕「僕もそう思う。定員オーバーだけど一旦別荘に行くか?」
A「おれ残るよ。5人で帰った方がいい」
そんな事を話し合っているとき、ふいにその声が聞こえたのです。あまりにも明瞭でしかもだんだん声がこちらに近づいてきたので、てっきりレッカー車が到着して、その運転手に話しかけられたと勘違いしました。その声は、
「。。。○○さんですか?」
声のする方へ振り返ると、Bが目を見開いて立っているだけでした。レッカー車も、来訪者もいません。僕は
「いま声がした?」
という言葉を飲み込みました。それをBに言ったら、Bに先入観をあたえてしまうと思ったからです。我慢して、じっとしていました。二人の間に重苦しい空気がが流れました。
B「いま。。話しかけられたよね?」
自分だけが聞いたのではない安堵と、やはり自分は聞いてしまったんだという恐怖の両方で、背中に電気が走りました。
僕「。。うん。。なんて聞こえた?」
B「はっきり聞こえなかったけど。。何か聞かれた?ような。。」
どうやら僕ほどはっきり聞こえなかったようです。
僕「男?女?」
B「おんなかな。。」
僕「僕ははっきり男に聞こえた」
B「なんて?」
僕「名前を呼ばれたけど。。名前の部分が聞き取れなかった」
B「名前呼ばれたんだ。。返事しなくて正解だったんじゃない?」
僕「。。。」
もう限界だと思い、その場を離れようとしたらレッカー車が到着しました。それからはとてもスムーズに事が進み、数分後にはその場所から離れる事が出来ました。
翌日、車を運んだ修理工場へ処分について話し合いに出かけました。僕は昨夜、別荘に戻ってからみんなで話し合った通り、それとなく地元の人の情報を引き出そうとしました。
僕「事故はおおいですか?」
「あそこはおおいね。他の場所は雨とか霧の時多くなるけど、あそこだけはそういうの関係ない」
僕「あの場所、薄気味悪かったんですけど」
「ああ、あそこは良くないね」
声を聞いたとか、変な陰がなんて事は言わなかったのですが、興味深い話しが聞けました。そこの道は以前まっすぐだったそうなのです。それを電気施設を作るために道も、そして川も、カーブさせて作り出した場所なのだと。
たぶん、ここらへんだったと思います。
地図1
ここがコンビニのある信号でUターンした場所
地図2
⇔戻る