廃工場探検
夏休み。友達と肝試しに、近くの廃工場にいったんだがホントに真っ暗で、2人じゃきつい、、と思って何人かの友達にメールして、11時頃かな、なんとか集まった5人で敷地に入っていったんだよ。その工場って、数年前、経営者が殺人未遂で捕まって、閉鎖された、とかで放火騒ぎとか、恐喝の現場になったとか結構問題のある場所だったんだよ。もちろん、学校とかにも連絡が来て立ち入り禁止、とか連絡してたんだけど当時、本物の馬鹿だった自分たちは
「中の写真撮ってくる」
って公言しちゃって、強がりながらの肝試しだったんだよ。
中は結構広くて、いくつかの棟にわかれてて友達2人は入り口すぐの事務所、自分とあと2人が、奥の倉庫にいったんだけど自分たちが奥に向かってると、事務所の窓から友達の持ってる懐中電灯の明かりが見えるんだよね。それで、その明かりがどんどん進んでくから
「すごいなぁ、あいつら」
とか思ってたら、別の方向からも明かりが来てるんだよね。変だな、とは思ったけどとりあえず、奥の倉庫探検して何もないなぁ、とか思いながら外出てたら、ふと気づいたんだよね。倉庫はいる前に見えてた光がずっと同じ位置にある、って。
さすがに不思議に思って事務所のなかに入っていったんだよ。友達の光が見えたのが4階で、階段駆け上っていくんだけど階段、3階までしかないんだよ。怖くなって外にでたら、やっぱり4階に光が止まってる。あきらかにおかしいんだよ。なかに入ると、3階、外から見ると4階。呆然としてたんだけど俺、見ちゃったんだよ。
ライトの影になって浮き上がってる人の影が、両脇に何か抱えているの。
そのあと、俺は気絶して次の日の朝、家で気がついた。それで、すごいしかられると思って親にあったら、すぐ着替えろ、って言われて。車に乗せられて警察いったんだよね。住居不法侵入かなんかで補導かな、、とか思ってたらテレビでよくある部屋に連れてこられて事務所に入っていった友達について聞かれたんだよ。
最後まで信じられなかった。その友達が、行方不明だなんて。
俺はずっと、事務所の4階だっていったんだけど警察の人(結構若いお兄さんだった)に
「あの事務所はもう無いぞ」
っていわれたんだよ。その夜に、いっしょに肝試しいった友達も同じこといったから、警察もひととおり調べたらしいけどその友達と、事務所は見つかってない。俺も、自分の目で確かめたけどあの夜、俺たちの入った倉庫以外、その工場の敷地内に無いんだよ。なんていうか、記憶と現実に矛盾が存在してる。他の友達も、絶対にあったっていってたんだけど今では、無かったのかもしれない、っていってるんだよ。
もうあれから何年かたったからあれは夢だったんだ、って思うようにしてるけど頭から離れないんだよ。あの大きな人影と、両脇に抱えられるふたつの影が・・今でも、その友達は帰ってきてない。今でもあの事務所の4階で俺たちを待ってるのかもしれない。オカルト、って軽い感じするけど恐怖体験、とかそういうのより自分の記憶が信じられないのが、一番怖かった。洒落にならないほど怖い話。俺の人生では、この体験がそうなんだよ。
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