見守る祖父母
長い長い話ですがよければお付き合いください。知り合いの霊能者、Kさんが手懸けた話です。
東京から亡き祖父母の家と畑を受け継ぐ為、田舎にやってきたCさん一家。東京でそれなりに生活していたCさんが、慣れない田舎で農業を始めたのは、病弱な一人娘のSちゃんの健康を考えてです。
Sちゃんや、奥さんのWさんが田舎の古い農家に馴染めるか心配でしたが、すぐに田舎暮しに馴染み、Sちゃんも元気に野山を駆けられるほど健康になったのです。
しかし、Cさんにはまだ悩みがありました。風邪を引いたり、具合が悪くなったりする事こそ少なくなったもののSちゃんの最大の問題は、肌一面を赤くする重度のアトピー。奥さんは、Sちゃんが夜中にアトピーを掻き毟らない様寝ずの番をする事も。
ある日、知り合いのAさんから体に良い、山の湧き水の話を聞いたCさんは、Sちゃんの為に夜も明けぬ内から山に水汲みに行き、炊事や風呂に使いました。するとみるみる内にSちゃんの体は良くなっていったのです。
ですがその頃から異変が。Cさんが山に入ると誰かが呼ぶ様な声がするのです。ふらふらと山を彷徨い、記憶が無くなることも。そのくせ、気が付くとポリタンクにしっかり水が入っていたり。
さすがに気味が悪くなったCさんは親しい知人のAさんに相談。そこで紹介されたのがKさんでした。
Kさんは早速Cさんと会い、山へ向いました。
KさんがCさんと山を歩いているといきなり
「すみませんねぇ」
と言うはっきりした声がKさんの耳に。草木を掻き分け、声の方へダッシュするとそこには小さな神社。見ると神社の隅に、頭を下げた小柄なお婆さんがいました。
神社は無人でしたが、ガラス戸の隙間からCさんの祖母の名前が見えました。生前のお祖母さんは、よく神様にお酒を奉納していたのです。
お祖母さんは、子供の頃ひどく体の弱かったCさんの健康を願って毎日の様にこの神社にお参り来ていたのだそうです。そして、今は可愛い曾孫の健康を願っていたのでした。
お祖母さんの事を話すと、Cさんは男泣きに泣きだしました。お祖母さんは、朝も早くから水を汲みにくるCさんを見て立派になったと感動しながらも、心配して手伝いたかった様です。
Cさんは山にこだまする程の大声で
「ばあちゃん!ありがとう!」
「俺は大丈夫だよ!」
と叫びました。
その後、Cさんの家で歓待を受けたKさんはまたビックリ。家にはなんとステテコ姿のお祖父さんが。しかしその姿は光に満ちていました。
お祖父さんは家で、孫達を守っていたんですね。
Sちゃんのアトピーはすっかり綺麗になり、今では風邪一つ引かないそうです。
⇔戻る