夢の中での名場面

心霊かどうか分からんが。

今から約10年前、犬を飼うことになった。“リュウ”と名付けた。家な○子に出てくる犬のように、賢い子になってほしいと思って。

玄関のちょうど真裏に小屋を置いて、そこで飼ってた。繋いであるロープを外して、

「よし、回って来い!」

と言うと、リュウは猛烈にダッシュ。先回りして玄関まで行きしばらくすると、足音が聞こえる。するとリュウが、尻尾ブンブン振りながら、全速力で玄関まで走ってきて、お座りをする。これが散歩前の恒例の儀式?みたいなもんだった。

今から一年半前のある日。散歩に行こうとしたら、リュウの様子がおかしいことに気付いた。次の日病院に連れて行くと、末期のフィラリアだと診断された。色々手を尽くしたが、

「もう成す術がない」

と医者から告げられた。

ご飯をあげても食べない。水さえも。食べたくても、胃が受け付けずに吐き出してしまうんだ。自分達は、リュウが衰弱していくのを見てるだけしかできなかった。

そして、自分達が朝起きる前に、リュウは逝ってしまった。「助からない」と告げられてから、二週間後のことだった。その日の昼12時前に、近くの墓地に埋めた。天国では、何にも縛られずに走り回ってほしかったから、首輪を外しておいた。

それから毎日泣いた。

「なんでもっと早くに病院に連れて行かなかったんだ」
「安楽死させてやった方が、リュウも苦しまずにすんだんじゃないか」

とにかく自分のせいだとずっと責めた。

リュウが死んでちょうど一週間後。その日も泣いていた。泣き疲れて、コタツでうたた寝してたら、ある夢を見た。

夢の中でも、同じようにコタツで寝てる自分がいるんだ。ふと気配を感じて、慌てて飛び起きた。絶対にリュウだと思った。コタツのある部屋のすぐ隣が玄関なんだが、すぐさま玄関まで行くと、リュウの足音が聞こえてきた。

しばらくすると、全速力で走ってくるリュウが見える。そしていつものように、尻尾をブンブン振りながら、玄関先でお座りをした。

私は嬉しくて仕方がなかった。泣きながら、頭をぐりぐり、ずーっと撫で回してた。

しばらくすると、リュウがスッと立ち上がって、私から数歩離れた。そしたら、リュウが金色の砂のようになって、サラサラと崩れていった。下から風に吹かれているかのように、舞い上がって消えた。上からは光が射していた。例えるなら、パ○ラッシュとネ○が天国へ旅立つあのシーンwこの世のものとは思えないほど、キレイに光って消えていった。

そこで夢から覚めた。

コタツで寝てたはずなのに、玄関先で寝てるんだよ自分。いくらなんでも、そこまで寝相悪くないんだがw

ふと時計を見ると、リュウを埋めた時間と同じ、昼12時前だった。

夢の中では、外してあげた首輪もしてた。苦しい死に方をさせてしまったから、絶対に恨まれていると思っていたが、それでも夢に出てきてくれただけで、本当に嬉しかった。
⇔戻る