ジジがくれたきっかけ

俺が中学校の時の話だが、小学校から中学校になり周りの同級生は突然先輩後輩の上下関係を作り始めた。そんな変化と担任の先生がいやで中1の1学期から俺は登校拒否児となった。

数ヶ月の登校拒否が続いたある日、家に一匹の黒猫がいた。親に聞いたら知り合いの家からあずかってきたと言われた。まだ生まれて1ヶ月くらいの子猫だった。

あずかってきたと言われたがあまりにかわいいので飼いたいと言ったらすんなりOKが出て飼うことになった。

そのころちょうど魔女の宅急便が放映された頃だったのでもちろん名前はジジ。まっくろけで目が黄色。うちで初めて飼う猫だった。

ジジと遊ぶときはいつも茶の間とかで、絶対自分の部屋にはいれなかった。なんでだかわからないけどほとんど入れることがなかった。

自分の部屋は中学に入ったすぐに増築して作ってもらったのだが、そのとき親が方位を気にし御祓いや日を見ていた。その場所をいじると自分に何かあるということだったので親も熱心だった。しかし案の定登校拒否となってしまった俺・・・方位がどうのが関係あるかどうかというのもわからないが。

そんなこんなで学校も行かずに中3になった。黒猫のジジも家に来て一年半くらいになる。なぜか数日ジジが俺の部屋のドアをカリカリし、入りたいそぶりを見せていた。部屋の中に俺がいると外側からカリカリ、部屋から俺が出ているときもカリカリしている光景をよく見るようになった。

「そんなにはいりたいのか」

と思って数日後入れてあげることにした。ジジはキョロキョロしながら俺の部屋に入ってきた。そして座り込んで天井の一点をジーっと見つめてた。ジジが見つめていた先には御祓いを行ったときに貼られたおふだが貼ってあった。おふだを見つめるジジを俺はずっと見てた。

しばらくするとジジはドアをあけてとばかりにカリカリしはじめたので部屋から出してあげた。

それから1週間後元気だったジジの体調が悪くなり階段を下りるとき足がもつれ転倒したりするようになった。そして動けなくなってしまったジジ。平日の昼間、家には俺しかいない。目の前に息も荒く目もうつろ。俺はジジの目を覆う用に手を当てた。 そしてちょっとたちその手をどけるとまん丸の瞳をしたジジがこっち見てた。十数分後、スーっと息を引き取った。

それから数日自分の気持ちがすごい落ち着き、ちょっと学校へ行ってみた。自分の席があり給食食って帰ってきた。

もちろん進路なんて何も考えてない。中学に行ってない俺には受験に必要な知識は全く無い。だけどとある学校を紹介され受験することに。そして見事合格。学力だけでは無い違う物を見てくれた。そして学年で一番最初に進路が決まった。卒業式は校長室で一人の卒業式をやった。

その後3年間+専門課程2年の5年間その学校に通った。無遅刻無欠席の表彰を受け、最後卒業生の言葉として壇上で文章を読み上げた。現在就職し10年が経とうとしている。

今でもたまに黒猫のジジを思い出す。俺には絶対死んだじいさんと黒猫のジジが守ってくれてると思っている。
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