猫の恩返し

5年ぐらい前に近所の小学生達が猫の死体見つけたと騒いでいた。放っておくのは可哀想だから、墓を作ってやろうと俺が穴を掘って埋めてやったんだ。

その日の夜、不思議な夢を見た。昼間埋めてやった猫と似たような毛の色をした猫が、咥えていた白い箱の様な物を俺の枕元に置いて消えて行った。

その時はタダの夢だと思っていた。ちょうどその日高校入試で、学校へ行き鞄を開けて驚いた。夢の中で猫が置いて行った白い箱が入ってたんだ。中にはその猫の毛を纏めて作った様なストラップらしき物が入っていた。

最初は少し気味悪く思ったが、そのストラップを握ってみると、不思議な安心感を覚え、緊張感が無くなったんだ。

まぁ残念ながら、その入試は落ちてしまったんだが、その日の夜また猫が夢に現れた。

しきりに俺に向かって頭を下げてるんだ。どうやら謝っているようで、俺が

「お前は悪くない、気にしなくていいぞ」

と言ったら、一回鳴いて消えて行った。

その後、2次募集で無事に受かり、高校に入る事ができた。

しばらくして、猫の夢の事を忘れた頃、バイトをしようと、面接予約をしたんだ。そして、面接の日の朝また猫の夢をみた。以前と同様に、白い箱を俺の枕元に置いて消えて行く、という内容だった。

バイトの面接に出かける前、気になって鞄の中を見てみると、同じ箱が入っていた。開けてみると、またストラップが入っていたが、入試の時の物とデサインが違った。折角だしと携帯に付けて、面接に行った。特に緊張する事も無く、無事に面接が終り、2週間後内定を貰った。

内定貰ったその日、猫の霊だろうか、それらしきものを見た。寝転がっている俺の上に乗り、気持ち良さそうに寝ていた。その顔は凄く満足そうで、それを見た時、こいつのお陰で内定貰えたんだなと思い、寝ている猫に向かって

「ありがとうな」

と、一言礼を言うと、ゆっくり目を開けて、俺の顔を見たあと、一回鳴いて消えて行った。

その後、大きな行事の際にはその猫が現れ、一回鳴いて消えて行くようになった。その声聞くと自然と緊張感が抜けて行き、失敗無くこなす事が出来るんだ。

因みに、墓を一緒に墓を作った当時の小学生達も、大きな行事前は俺と同じ夢を見て、成功すると横なり上なりで満足気に寝ているそうだ。

あの時墓を作った場所には立派なキンモクセイが生えていて、ちょうど猫の墓を作ってやった時に花を咲かせて、周囲にとても良い匂いを漂わせている。これは猫の恩返しってやつだろうか。毎年キンモクセイが咲く頃が楽しみで仕方ない。

余談
そのストラップなんだけど、書き忘れたけど良い事がある度小さくなって今は無くなっちゃてるんだ。

隣りに住んでる当時の小学生(現在高校1年)も、同じもの持ったんだけど、志望校に受かった日に無くなっちゃったらしいんだ。

まぁ何かの代償なしに良い事は無いって事かな?そいつの友達は新しいのもらったって言ってたらしいから、もしかしたらまた、新しいのもらえるかも。

いつになるか分からんが、もらったらうpします。

あ、因みにそのストラップを、近くの寺の住職さんに事情を話してみせたら、

「感謝の気持ちがたくさん詰まっています。大切にしなさい」

って言われた。
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