第九十二話

語り部:結露 ◆05rYNPPJyE
ID:3R4oK+sI0

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コンクリート

近所に川幅4,5メートルくらいのちょっとした農業用水がある。小学生の頃はそのあたりで、トンボやらオタマジャクシやら採って遊んでいた。

その用水路の橋のひとつのそばに不思議な物がある。

周りの斜面は草ぼうぼうなのに一箇所だけ、なにかを埋めた穴にコンクリートを流し込んだような後。夏場は背の高い雑草に紛れて、存在すら忘れてしまうのが、冬場は草を刈り込んでしまうのでそこだけが妙に浮いて見える。

当時、そこには死体が埋まっているという噂があり、赤ペンキをわざとこぼしてあることもあり、うさんくさくも、もしかして…という気持ちがあった。

だが、橋の工事であまったコンクリートを捨てたという事で結局、話は落ち着いて誰もその事について話さなくなった。

だが、記憶を探って出てきた映像ではそのコンクリートは橋に使われていたものとは違い、砂利や小石が混ざり素人が適当に混ぜたもののような気がした。

私は大人になってからなんとなくそれを見に行った。赤ペンキは経年で剥げてほとんどなくなっていたものの、やはり橋に使われているのとは違う荒い砂利交じりのコンクリート…ちょうど大人が足を抱えさせられ埋められたと考えるとちょうどいい感じの大きさのそれ。

そしてそれはまだ変わらずにそこにある。
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