第八十二話

語り部:かたりや
ID:B5B13T1BO

【082/100】

地元の山は世界遺産になっているため観光客が多い反面、毎年行方不明者がでるそんな山です。父はガイドの仕事をしていますが、行方不明者が出た際は捜索隊になることもあります。これは、そんな父に聞いた話です。

ある年の夏、山に泊まり込みで登っていたグループの一人の方が行方不明になりました。捜索隊が出て、捜索が行われましたがなかなか見つかりません。行方不明者は女性、夜中に山小屋の裏手のトイレに行きそのまま消えてしまいました。

ガイド仲間と幾日か泊まり込みで探していたある夜、仲間の一人が

「山の神様の怒りにふれたのか?」
「実は逃げていて既に山には居ない」

等と女性の行方についてあれこれと話していると、父は急に物凄い寒気を感じ、キョロキョロと辺りを見回すと…仲間のガイドの後ろにある窓一面に行方不明者の女性の顔が張り付いていたそうです。

余りのことに驚き二人で見つめていると、何かに引っ張られるように女性は消えていったそうです。

この女性はまだ見つかっていません。

【完】
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