第六十七話

語り部:鍋 ◆Tz2F/k.KCI
ID:jTF/C7PwO

【067/100】
先生

中学生の頃の出来事です。

授業中に具合が悪くなった友達に付き添って、保健室に行くために廊下を歩いていました。

すると後ろから、

「おーい」

という声が聞こえたので振り返ると、先生が急ぎ足でこちらに向かって来ました。

私が

「どうしたんですか?」

と聞いても先生は答えず、ずっと先を見つめながら

「おーい」

と何度も繰り返し、私達の脇を通り過ぎて行きました。

保健室に友達を寝かせ、私は教室に戻りました。

授業が終わってから先生に、

「さっき何してたんですか?」

と聞いたのですが先生は

「何が?」

と聞き返してきました。

私は廊下での事を話したのですが、先生はずっと教室にいたと言います。他の同級生に聞いても、やっぱり先生は教室にいたとの事。

保健室に行った友達に確認しましたが、間違いなく廊下で先生に会ったと答えました。

廊下を歩いて行った先生の正体はわからないままです。

【完】
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