第四十九話

語り部:卯月 ◆GOAWhnLs/o
ID:Y9YgYRzMO

【049/100】
『深夜・耳鳴り・眼』

高校生の頃だったかな…季節は夏頃で試験勉強に精を出してた時だと思う。俺の場合、例外なく前日に一夜漬けで詰め込むから、寝るのは日付が変わってからが当たり前だった。

その日も毎度のごとく、夜になってから始めたんだが何となく気分が悪い。周囲の空気がおかしい…例えて言うなら車とかで長いトンネルに入った時、耳鳴りがして押しつけられるような感じ。

(疲れてるんだな、きっと)

とか思って最初は気にしなかった。

で、なかなか活性化しない頭に無理矢理詰め込んでったんだが、その間にも頻繁に耳鳴りがしたり、妙な鳥肌が立ったりしてた。(暑がりだが冷房はかけてなかったな、さすがにw)

せっかく勉強しても風邪で休んだら話にならん、とか思ってその後熱を計ったけど平熱だったと思う。その時点で少し体調が気になったけど、とりあえず覚える範囲もわずかになってたから追い込んだ。

ふと時計に目をやると02:00過ぎたくらいだったから、勉強も終わりにして寝る前の習慣であるトイレに向かった。…が、それがまずかった。

トイレに入って用を足そうとして何気なく窓の外を見たんだ。

居たんだよね、黒髪で真っ白な顔の小さい女の子が。格子に掴まってこっち見てた。

女の子だ、って判ったのは後になってからだったんだけど、それよりもその「眼」に異常を感じた。だって「無かった」から。赤黒いくぼみだけだったから…

その後は覚えてないんだよね。気絶したのは間違いないけど、空が明るくなってて俺はトイレの前で倒れてた。女の子は消えてたな。

昔から「俺に霊感はない」って思ってたけど、あれは霊だったのかなって… 耳鳴りなんかもその影響だろうと思われるが、あれ以降おかしな事はないなぁ。

それだけの話なんだけど、俺的に唯一パニック起こしたっぽい出来事でした。

【完】
⇔戻る