第四十二話
語り部:ねこ ◆wnkrgVCnXg
ID:JfBp5jy90
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『何の音?』
10年ほど前、私の家族が中古・・・といっても購入1年前に建った家に引越しをしたときの話です。
引越しも無事に済み、家に私一人になったある日のこと。誰もいないはずの二階の床を、ほうきの柄のようなもので
「ゴンゴン」
と叩く音が聞こえたのです。
二階にいるときは下から天井を突き上げているような音がするし、鍵が閉まっているはずの玄関のドアが開くような音がすることもありました。
それらの音は母も姉も聞いているのですが、なぜか父だけは聞くことがなく、父がいると音が鳴ることもありませんでした。
半年ほど経ち今日も鳴ってるなぁと思えるようになったころ、ある日突然音が鳴らなくなりました。そして音がしなくなったのと同じころ、お隣の奥さんが私に言いました。
「お宅の前に住んでた○○さん、最近来なくなったわね」
「・・・え?」
「あら、知らなかった? 少し前までよく車で来て、運転席からおウチを見てたのよ」
あの音をさせていたのはひょっとして・・・?
【完】
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