第三十一話
語り部:百々 ◆twi3GyMJ5w
ID:gL16ItOl0
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『壁』
小学校の頃。ある学習施設に行き一泊した時の話。
この学習施設ってのが曲者で、毎年『でる』だの『でた』だの話題が絶えない場所。もちろん話してくれるのは上級生。先生も冗談半分で脅かしてくれたけどドコまで本気で言ってるのかわからない、そこら辺は自分たちも子供なわけで。私としては興味深々ではあるもののそんな『特別』な事など起きるわけがないと思ってました。
当日、学校が用意したバスに乗り込み学習施設へ。部屋は4人部屋。二段ベットで私は速攻でドアから向かって右下のベットを占領。隣部屋は仲の良いYちゃんが居て、その子と壁一枚隣同士で眠ろう、それなら怖くないはず!と約束していたから。うちのクラスは色々と揉めた結果くじ引きでYちゃんとは別グループになってしまっていたのです。
夕飯のカレーの支度をしている時にYちゃんに聞くとドアから向かって左下のベットを占領したそう。お互いくすくす笑ってお互いの持ち場へ戻りました。
その後カレー食べお風呂に入ってキャンプファイヤーをしたりと楽しく過ごして消灯時間。寝るときは豆電球を普段つけていた私の家。真っ暗な部屋になかなか寝付けずにいて部屋に居る友達はみんな先に眠ってしまいました。
するとコンコンと壁を軽く叩く音。なんだろう、と一瞬思ったものの友達も眠れないのだろうと直ぐに良い方向へ。コンコンと同じ回数だけ鳴らすと次にきたのはコンコンコンと三回。それに対して同じ数だけ返し、そして4回、5回と増えていく壁の音。10回を越えたあたりから段々と眠くなってきたのだけど…
ドン!ドン!ドン!ドン!
と強く叩く音。そんなにしたら先生に見つかるって!!と思った私。小さく叩き返すものの効き目なし、壁からは強く叩く音がし続けて…。もう知らないんだから!!と布団をかぶって後は無視を決め込んでそのまま眠ってしまっていて…。
朝、起きると行動予定にあった海岸への散歩に出かけたのだが友達の姿はありません。どうかしたのかと思って隣の部屋だった他の子に聞いたところ…。
「え、Yちゃんなら多分帰ったよ?寝るとき、熱あったんだって。。。」
帰ったなんて気がつきませんでした。そして慌てて友達が眠る予定だったベットに誰かいたのか聞きました。
「うちらのバック置いてたよ〜?」
じゃあ、私と壁で交信していたのはだれ?
【完】
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