第二十五話
語り部:エソ ◆CQai/AiFaI
ID:kSEye1sA0
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『ギフト……?』
祖母の話。
祖母が重い病気を患ってしまい、臓器を摘出する大手術を受けることになりました。
肝っ玉の大きい祖母ですが、その前日は流石に不安で、あまり寝られなかったそうです。
布団に入ってぼーっとしていると、不意に天井から何かが降りてきました。目を凝らしてよく見てみると、それは金色に輝くお地蔵様。それがゆっくりと祖母の上まで降りてきて、手術の際に切る予定の胸に、すーっと入っていきました。
最初はやはり驚いたのですが、不思議とすぐに安心して、深い眠りに就いたそうです。
翌日の手術は、特に危ないことも無く、無事に終えることが出来ました。
が、お地蔵様はちょっと余計な力を祖母に与えたのです。
それは「死期を悟る力」。
術後は当然何日間か入院しなければならないのですが、六人部屋ではどうしても寝れなかったのだそうです。
祖母が言うには、
「死ぬ間際の人の近くに行くと、なにかもやもやしたものが体中に巻きついてくる」
のだとか。
祖母が退院する頃、六人のうち半分の三人が他界されていたらしいです。
祖父が亡くなったときも、大分前からそれを悟っていたようで、医師に、
「危なくなったら遠慮なく言って下さい」
と念を押していました。
いつもは優しい祖母ですが、その力は少し恐ろしいです……。
【完】
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