第二十四話

士郎 ◆q/vRuJLEB2
ID:qYOHfR7eO

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『絶て、黄泉』

これは、私が小学生の頃の話です。学校からの帰り道、真っ黒な髪を腰まで

のばした女の子が、公衆電話の前に立っていました。その子が振り向いて

話かけて来た時に、その目が白く濁っていた事から、私は彼女が盲目である事

を知ったのです。その子は透き通った声で言いました「美加ちゃん、お葬式の

最中に悪いんだけど、私の代わりに電話をかけてくれる?」わたしは(何か

誤解されてるな)と思い乍らも、そこは突っ込まずに、それよりも彼女が何故

まよう事なく私の名前を言い当てたのか、知りたいと思いました。「どこか

で、会ったかしら?」すると彼女はクスクスと可笑しそうに笑い、本を

読むように饒舌に語り始めたのです。「クラスが違うから、知らなくても

無理はないけど、アナタの同級生よ。貴方は一組で私は六組。廊下の端

と端ですものね。でも私は、ずっと前からアナタを知っていた・・・。

目の悪い人間ほど、声には敏感なものよ。アナタはとても綺麗な声で、クラス

の人望も厚くて、よく皆の話題になってた・・・。だってアナタは優等生の

見本のような人ですものね。きっと私の頼みを聞いてくれると思ったの。

エゴイスティックな他の人たちとは大違い・・・・・・」

なにかが狂ってるような気がしました。それでも私は、その少女の

いう通りに、ダイヤルを回し(当時はまだダイヤル式の公衆電話でした)、

少女のいう通りに、受話器を渡したのです。

女の子は、電話の向こうの誰かと声を潜めて話しては、時々こちらを見て、

にっこりと笑いました。その電話が終り、少女が去った直後でした。私が、

途方も無くおそろしいものに取り憑かれていた事に気付いたのは。

理由を詳しく説明する事はできません。私の

つまらない文章の意味を理解した者だけが、とり

かれる。そ

れが、この少女の呪いの

ルールなのですから。

【完】
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