第十五話

語り部:虎
ID:hexQpjw10

☆インコ☆

長い上に怖くないけど・・・。

我が家では、鳥を代々飼っている。セキセイインコとかいう種類だったと思う。母親が好きなんだが寝る時と飯の時以外、籠から出して遊ばせている。そして代々、我が家の鳥はめちゃくちゃ俺になつく。中には変わった能力を持った鳥もいるようで、たまにビックリさせられる・・・。

中学一年の頃だったかな。稀に見る頭の良いインコがいた。よく言葉を覚え、人になついた。家の人の帰りを直感でわかるらしく、だれかが帰ってくる前に玄関で出迎えをした。今思えば、それが災いしてしまった・・・。

家族全員で出掛けて、夜遅くに帰った時のことだった。冬だったので茶の間にストーブを付けて出かけた。インコが寒いといけないから・・・。

その日、家族全員が帰ってもインコの出迎えは無かった・・・。茶の間のドアは誰かが閉め忘れたらしくすこし開いていたという。夜中まで大捜索は続いた。

きっと、インコはずっと玄関で待っていたんだろう。暗くてよく辺りが見えなかったんだろう・・・。インコは玄関の入口に置いてあった石油タンクの中で死んでいた。

前置き長くてゴメン、不思議な話はここから始まる。

インコを可愛がっていた母は何十分も石油漬けになったインコの体を洗った。泣きならがら、謝りながら何度も何度もやさしく洗った。俺もその光景をずっと見守った。声を聞いたのはその時が初めてだったと思う。

「ピーーーーッ、ピーーーーーッ」

微かだがインコの鳴き声がする。まさか!と思い、インコを見るが当然目をつぶったまま。母親もそれに気がつく様子もない。

「ピーーーーッ、ピーーーーーッ」

やはり、鳴き声がする・・・・。周りを見渡してもインコなどいるわけがない。

さすがに気味が悪かったが、死んだインコが別れを言っているんだろうと思った。その日の内に、庭の一画にインコを埋葬した。

何日かが過ぎたある日の夜中、また・・・。

「ピーーーーッ、ピーーーーーッ」

鳴き声がする。今度は外の庭の方だった。

何度もしつこく鳴くので庭に出てみる。鳴き声は埋葬場所の辺りからだ。埋葬場所を見てビックリした。猫かなんかに掘り返されて今にも出てきそうな半ミイラ化しかインコが顔を覗かせていた。

「ごめんごめん」

と心の中で謝りながら、もう二度と掘り返されないように穴を奥深くまで掘って再度埋葬してやった。

掘ってる時、一度だけ

「ピーーーーッ、ピーーーーーッ」

が聞こえた。

それから代々、鳥が亡くなる度に庭に埋葬する。亡くなり方は様々だったが、その度に

「ピーーーーッ、ピーーーーーッ」

が聞こえる。

その声はその時埋葬したインコなのか、以前の頭の良いインコの声なのかは俺には判別付かない。その謎はいずれわかるだろう・・・。

今、恒例の如くインコを飼っている。しかもこのインコ、あのインコの様に頭がいい。そしてなにより、鳴き方に特徴がある。

「チョーーーーーッ、チョーーーーッ」

って鳴くのだ。きっと謎はこいつが亡くなった時にわかるだろう。

「ピーーーーッ、ピーーーーーッ」

と鳴くか。

「チョーーーッ、チョーーーーッ」

と鳴くか。

でも、可愛いから死んでほしくはない。長生きしてくれ、インコのチョーちゃん。

【完】
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