第十話

語り部:百々 ◆twi3GyMJ5w
ID:gL16ItOl0

【010/100】
『出来る事なら』

高校時代、夢の中で2歳の時に他界したはずの曾祖母(ひいおばあさんの事です)が入院して見舞っている夢を見ました。私は曾祖母の顔は覚えていませんが、何故か塩せんべいを貰った記憶だけあります。夢の中の曾祖母、逆光で顔だけは何故か見えずに居ました。

息もきれぎれな曾祖母を悲しんで私の母が

「辛いだろうに、出来る事なら代わってあげたい。」

そういった途端、私の中で優しいとしか印象にない曾祖母がムクリと起き上がって

「じゃあ代わってみる?」

とても恐ろしくて飛び跳ねるように起きました。春先でまだ薄ら寒かったのに身体は汗でびっしょり。朝、母がパジャマが変わっていた事を問いましたが、あまりに縁起が悪い話なので言えずにいました。

2ヵ月後、母は入院しました。すぐさま夢の事を思い出しましたが突然の事にそんな事を言っている暇もなく。またその夢の事は忘れて母のいない間、家事に学校にと忙しさに追われていました。

「百々(どうどう)、何か変な夢とか見た?」 母が退院何日か後に言った言葉。

一瞬固まって慌てて否定しましたが多分母も何かを見たんだと思いました。

でも何を見たのか未だに怖くて聞けていません。

【完】
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