第8話

語り部:有線 ◆zRMZeyPuLs
ID:fuMdaNdkO

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今日は休日。 浅野由美さんは、彼氏のアパートでまったりと過ごしていた。 何をするでもなく、、昼食を食べ、二人で昼寝をする。

暫らく経って、不意に浅野さんは目を覚ました。一瞬、自分のいる場所が何処だか判らなくなる。寝呆け眼を向けた先に、気持ち良さそうに寝ている彼氏。軽い安堵を覚えると共に、また眠気が襲ってきた。

そのまま眠ろうとした浅野さんの視界に、何かがちらちらと入り込んできた。ぼんやりと視線を向けると、彼氏の肩越しに肌色のものが見える。少し注視する。

見えているのは、隣の部屋とを繋ぐ引き戸。だが、何か違和感があった。

この部屋には、引き戸に少し被さるように本棚が設置してある。その本棚の脇、腰位の高さだろうか。そこに、おかっぱ頭の少女が、顔を半分程覗かせていた。

本棚と引き戸との隙間は数センチしかない。勿論、人が入れるわけもなかった。

顔だけの少女は、無表情に、浅野さん達を虚ろな目で見つめていた。正確には、浅野さんの彼氏を。

じっとりとした目付きで、瞬きもなく彼氏を凝視し続けている。しかし、その目はまだ、浅野さんを捉えてはいなかった。

恐ろしくなった浅野さんは、寝てしまおうと固く目を閉じた。幸いにも、眠気が覚めてしまう前に意識を手放す事ができた。

気付けば夕方になっていた。すでに彼氏は起きていたが、特に何かがあったようには見えなかった。

それから半年程経つ。未だ彼氏に変わった事はないという。


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