第三話

語り部:森の人 ◆7FJky9yTMw
ID:y0aQ28sV0

【003/100】

僭越ながら語り部を務めさせていただきます。

よく小学校の時、三年生のトイレは呪われてるとか大鏡の前にずっと立ってちゃいけないとかいう噂があったじゃないですか。私の小学校でもそういった噂は絶えずあって、時には「学級文庫は読んだら呪われる」など、馬鹿らしい噂も多々ありました。

私が小学4年生の時、ある噂がとても有名になっていました。

「午後6時になると、人体模型が走り出す」・・・

私は噂にはうとい方なので、そんな噂が有名になってるほうに驚きました。なんで人体模型が運動場を走るのか、なんで6時限定なのか、っていうか6時程度なら目撃者ゾロゾロいるだろう、等突っ込み所がありすぎたからです。

しかし私が当時仲が良かった由香(ユイカ)と言う人はアホで、そういう噂は信じて疑わないほうでした。そして何を血迷ったか、

「じゃあ皆(3人でしたがw)で確かめてみよう!」

とか言い始めました。

もう一人の友達(春奈(ハルナ))はそれほど嫌そうでもありませんでしたが、私は正直ものすごく嫌でした。だって、9時とか10時とかならまだしも、6時と言うのが微妙過ぎたからです。見たいテレビだってあるし、お腹だって減ります。そういった事を二人に言うと、

由香はお決まりの

「アンタ怖いんやろ?w」

というセリフをかましてきました。

(お前が怖がってるから行くんだろうが!)

とか思いつつも、

「まぁ6時くらいなら・・・」

と承知してしまいました。

その日の放課後、早速3人で運動場の近くの昇降口で待機する事になりました。と言ってもまだ4時、(これでも時間を潰したのです)あと二時間もあります。なので一回帰ってせめてカバンを置いてこよう、と言ったのですが、

「その間に人体模型走るかも知れないやろ!!」

とか由香は言い出しました。白けた。

外で待ってると夏でも結構寒く、私は

「ちょっとトイレ行ってくるね。」

と近くの外トイレに行くことにしました。すると由香が、

「あのトイレの一番奥呪われてるんよ。気をつけえや」

とか言いました。白けた。

「はは、じゃあ奥のトイレ行ってきますw」

とか言いながらトイレに入りました。

入ってみるとなるほど、小さい窓が横にひとつしか無く、蛍光灯は壊れているので中は暗く、奥となるとほとんど「朝カーテン閉めっぱなし」ぐらいの暗さです。それでも私は

「噂考えた奴誰なんかなー」

ぐらいにしか思ってませんでした。

そして私は予告通り一番奥のトイレに入りました。宣言したからではなく、奥が一番キレイだったからです。そして私が用を足して立ち上がろうとしたら、出口のほうから、

コンコン。

とノックの音がしました。

「誰か来たのか。出辛いなぁ」

と思っていると、

コンコン。

とまたノックの音がしました。近づいています。

そこのあたりから私は「おかしい」と思い始めました。なぜなら、トイレには人の気配はしなかったからです。

コンコン。

このトイレは全部で5つ、あと2個で私の所に来てしまいます。

そこで私は

「あ、これイタズラかw」

と気付きました。普通に考えると有り得ないし、あの二人ならそういう事を考えそうだったからです。

コンコン。

私は内心笑いつつ、次近づいてきたらいきなり開けて驚かせようとしました。すると隣のトイレから、

ドンドン。

とノックを誰かが返したのです。

私はもの凄く驚きました。隣に誰もいなかったしwwえ?っていうかドンドンってちょwwwおまwwww っていうか次こっちだしwwwwwwwは?wwwwこれも計算の内?wwwwwww

みたいになりました。すると出口のほうから、

「おーい○○〜、まだトイレいんの〜?」

と春奈の声がしました。

お、今なら出てもいいんじゃね? と私は急速にパニックから回復し、トイレのドアを勢い良く開けました。

「あ、そこに居たんだ。」

と春奈がトイレの目の前にいました。ずっと向こうの出口に春奈がいたハズなのでとても驚きました。

私が

「ちょっと足速くない? さっきまで出口のほうに居たんでしょ?」

と言うと、

「え?そう?私歩いたんだけど・・・ 普通でしょ。」

と言われました。不思議に思うと、

そこは出口に一番近いトイレでした。

【完】
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