第八十二話

語り部:いぬばか ◆Tsi7Uqno3c
ID:cFVf3WLX0

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【三度目】

祖父母の家では雑種の犬を飼っていました。

喋ったり投げ食いしたりと芸達者な犬でしたが俺が小1の頃に老衰で死んでしまいました。

当時俺は親の仕事の関係で祖父母と離れて住んでいて彼の死に目に会えなかったのですが、祖父母、叔母が少しだけ不思議な体験をしたそうです。

次の日、祖母たちは動物を火葬する業者さんに彼の遺体を渡し叔母の車に乗って買い物に出かけたそうです。その途中でその業者さんの車を追い越したそうです。その時は特に気にしなかったらしいのですが、その後デパートに向けて国道を走っていると曲がり角からまた業者さんの車が出てきました。この時には少し不思議に思ったそうです。

そして、買い物を終え家へ帰るときにまた業者さんの車とすれ違ったそうです。火葬場の位置を考えるとこんなに出会うはずは無いのです。

たまたまそういうルートを通ったということも考えられますが・・・

祖母は

「よほど会いたかったのだろうね」

と言って笑いました。

[完]
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