第六十三話

語り部:蟻 ◆GJCUnhVBSE
ID:yBezmQGa0

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小学校五年生の時に体験した話。

翌日に校内遠足を控えていた夜のこと。

私は自室で遠足の準備をしていた。お菓子、レジャーシートなどをリュックにつめる。着ていく服も用意した。時間はだいぶ遅くなっていた。

そろそろ寝ようかと思い、電気を消してベッドに入った。

すると、

「○○ちゃん(私の名前)、もう寝るの? 私、明日休むから」

枕元で、当時仲のよかったEちゃんの声がした。確かにEちゃんの声だったので、私はさほど怖いとも不思議だとも思わず、

「わかった」

と返事をし、そのまま眠りについた。

翌朝起きて冷静に思い返してみると、あれはちょっとおかしい。なんで私の部屋でEちゃんの声がするんだ。今日本人に会ったらどういうことか聞いてみよう。そう思いながら学校へ向かった。

教室に着くと、やはり遠足の前だからだろうか、みんなうきうきしている。私は仲良しグループのYちゃんを見つけ、

「Eちゃんはもう来た?」

と聞いた。Yちゃんは、こう答えた。

「Eちゃんね、今日休みなんだって。風邪ひいたらしいよ」

さすがに恐ろしくなった私は、後日風邪が治ってEちゃんが登校してきても、とうとうあのことを本人に話す気にはなれなかった。

[完]
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