第五十二話

語り部:いぬばか@受付 ◆Tsi7Uqno3c
ID:cFVf3WLX0

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夜景

俺がリア厨だった頃の話

当時俺はサッカー部に所属したんだけど、ほとんど練習に行ってませんでした。いわゆる幽霊部員というやつです。

その日もなんとか他の部員の目を盗んで帰ろうとしていたのですが運悪く見つかってしまい軽くボールを触った後に、近くの運動公園へ練習に行くことになりました。坂道を何回もダッシュさせられクタクタになりましたよ。

一通り体力づくりをして、あとはランニングコースを一周したら帰ってもいいと言われる頃にはもう日も暮れて真っ暗になってました。

当時その公園は一年前に首吊り自殺が有り、更に色々と噂のある霊園も隣接してるとかなり(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルな場所でした。

運動不足の俺を尻目に他の部員たちは次々と追い抜いて行きます。とうとう周りには誰も居なくなってしまいました。ビビリの俺はもう泣きそうになりながら走り続けました。

野球場の横のコーナーを曲がると、何か明るくなって来たのでなんだろうと思っていると、目の前に夜景が現れました。まるで函館で見た様な綺麗な夜景がキラキラと光っていて、少しの間目を奪われてしまいました。俺はいい場所を見つけたと思い上機嫌で家路に着きました。

その後程無くしてサッカー部を止めたので夜にあの夜景を見ることは無かったのですが、冬休みに入り早朝に犬の散歩をするようになってあの夜景の場所に行ってみたくなりました。

しかし、そこには町を一望できる場所などなくあの時見ていた方向には霊園の墓の群れが見えるだけです。

そういえば、あの時夜景の明かりが心持ち揺れていたような・・・

まあ、気のせいですよね。。。

[完]
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