第四十話

語り部:影虎 ◆ufyC28b62o
ID:6hObzdE1O

【040/100】

「ラブホテルの怪」

自称・オカルトマニアである私は、常々彼氏にドン引きされている。

少し前。ウォータースライダーとプールのついたラブホテルへ行った。高速道路から見えるそのラブホは、心霊スポットとしても有名だった。

「あっちゃん(私)、今日はあそこに行こうか」
「…出るらしいよ」
「…萎えるからそういう事言わない」

まぁ、入ってしまえばこんなもんか…という部屋。プールは深いが狭い。肝心のウォータースライダーは、完全な筒状で、入り口から少し奥は完璧な闇だった。

先に、彼氏がすべった。続いて、私がすべる…思っていたより速く、怖い。

プールに着水する瞬間、私は確かに見た。水面から手が。私の足を掴む。

水面と水平に飛び、有り得ない位出口から遠くに着水した。彼氏が慌てて私を抱き上げる。

プールサイドにぶつけたのか、額がぱっくり逝っていた。

[完]
⇔戻る