第三十六話

語り部:影虎 ◆ufyC28b62o
ID:6hObzdE1O

【036/100】

「追いかける」

高校生の時、私は友人と二人、並んで自転車で帰宅していた。真冬の事で、外は真暗。学校を出た時から、何かが追い掛けて来る気がした。

「…気のせいだ」

そう思いながらも、友人と別れた後は自転車を飛ばした。振り向いてはいけない気がして、必死に。

途中、誰かに呼ばれた気もしたが、怖くて振り返れない。

無事帰宅した時は、冷や汗でびっしょりだった。

次の日、教室で声をかけられた。当時の彼氏だ。

「昨日いきなしチャリ飛ばしてたべ(笑)俺声かけたんだぞ。何かあった?」
「…いや、なんか追っかけられてる気、して…」
「そう?誰もいねがったぞ。んだ、後ろに乗ってたの、あんちゃん?つか普通兄貴がチャリこがねぇか(笑)」

私には弟しかいない

[完]
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