第十六話

語り部:影虎 ◆ufyC28b62o
ID:6hObzdE1O

【016/100】

「好奇心はハムスターを殺す」

五年前の夏、私は一人で百物語をしていた。厳密に言うと、夏休みの自由レポートにして出す予定だった。都市伝説含め、怖い話の移り変わりや流行を追ったら面白いと思ったのだ。だから、本、ネット、友人達から…と、あちこちから怪奇談を集めていた。

三十話集まった日、ペットのハムスターが一匹死んだ。泣きながら庭に埋めた。

四十話集まった日、またハムスターが死んだ。また泣きながら庭に埋めた。

六十五話集まった頃から、誰もいない風呂場から女のすすり泣きが聞こえるようになった。

まだ、偶然だと思っていた。

ある日、弟が言った。

「あのさ…笑わないで聞いてくれよ。風呂場から女の声がしないか?」

私は一人百物語を止めた。途端にぴたりと女のすすり泣きは止み、ハムスターは死ななくなった。

夏休みが明け、私は友人達に言われた。

「…あんた、顔が死人みたいな色だよ」

[完]
⇔戻る